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エンゲージメントの鍵は「アテンション」— ブランド成果を導く新指標

2025/04/22

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寄稿提供:Integral Ad Science Japan 株式会社

デジタルの世界では、次々と大量に流れてくるコンテンツが常に消費者の注目を奪い合い、広告主やマーケターは「どうすれば自社のメッセージを消費者に届けられるか」という課題に直面しています。情報の洪水の中では、どれだけ優れたクリエイティブであっても、消費者の「アテンション(注意・注目)」を獲得できなければ、本質的なエンゲージメントにはつながりません。

こうした背景から近年、広告業界では「アテンション」を新たな評価軸として捉え、キャンペーンの成果を高めるための手段として活用する動きが活発化しています。Integral Ad Science(IAS)のこの記事では、アテンション計測の重要性と、それを支える主要なメディア品質指標について解説します。

「アテンション」とは何か?— 変化する広告評価指標

アテンションとは、ユーザーが広告にどれだけ注意を向け、関与しているかを示す指標です。従来の「クリック率」や「インプレッション数」といった量的な評価だけでは、広告が本当に消費者に届いたかを測ることは難しくなってきました。

特に消費者のメディア接触行動が多様化し、興味・関心が瞬時に移り変わる現代においては、「どれだけ長く広告に視線を向けたか」「どのような環境で見られたか」「広告に対してどのような行動を取ったか」など、より精緻な指標が必要とされており、それらの指標をIASでは「アテンション」と定義し、広告インプレッションのアテンションをスコアで可視化しています。

メディア品質指標とアテンション:まず最初に見るべき3つのシグナル

IASでは、広告パフォーマンスとアテンションの関係を解明するために、以下の3つの「アテンション・シグナル」に注目しています。

①視認性(Visibility/ビジビリティ)— アテンションの出発点

広告がユーザーに見られる状態でなければ、アテンションを獲得することはできません。ビューアビリティ(広告の可視性)とタイムインビュー(視認時間)は、最も基本的なアテンション指標であり、キャンペーン最適化の第一歩です。

IASがCatalina社と実施した調査では、大手消費財ブランドの広告において、「ビューアブルな広告」は「ビューアブルでない広告」と比べてROAS(広告費用対効果)が3倍、ROASが180%増加するという結果が示されました。さらに、「3〜10秒」のタイムインビューが、最も高いROIを生み出す最適な広告視聴時間であることも明らかになっています。

②状況(Situation/状況)— 広告が掲載される“環境”の重要性

広告がどのような環境で表示されるかは、ユーザーによる広告やブランドメッセージの受け止め方や、その後の行動に大きな影響を与えます。「ページ内の広告枠の数」や「ページ上で広告枠が占める割合」、「周辺コンテンツとの文脈的関連性」などは、すべてアテンションに作用する重要な要素です。

ターゲットとなる消費者の興味・関心と合致したコンテンツが、ブランドにとって最も理想的な広告掲載場所なのです。また、IASの調査では、ブランドセーフな環境で配信された広告は、そうでない環境と比べてコンバージョン率が233%も高いことがわかりました。安心かつ適切な文脈で広告を届けることで、消費者の共感を得やすくなるのです。

③ユーザー行動(Interaction/インタラクション)— 消費者の行動を捉える

広告や掲載ページに対するユーザーの行動も、アテンションに影響を及ぼします。ページスクロール、クリック、再生といった行動データ、さらにはアイ・トラッキングによって取得される視線の動きは、広告に対する関心の高さを示す有益なシグナルです。

HPの広告キャンペーンを対象に、IASが Tobii Pro と共同で実施したアイ・トラッキング調査では、消費者は文脈に合致した広告を最初に、かつ長時間見る傾向が示されました。また、HPのディスプレイ広告を関連性の高いコンテンツ環境に掲載した場合、ブランド想起が4倍、購買意向が14%向上しました。

さらに、FIFAワールドカップ開催期間の広告の分析でも、スポーツ関連のコンテンツなど、広告と文脈的に一致した環境では、政治や旅行といった非関連コンテンツに比べて、広告に対する消費者の行動がより多く発生したことが確認されました。つまり、広告メッセージとコンテンツ内容が合致した掲載面では、ユーザー行動(Interaction)が明らかに高くなるのです。

これらの結果は、第三者クッキーに代わるソリューションとして、アテンション指標の観点からも、コンテキストターゲティングが広告配信戦略の中核になることを示しています。

アテンション重視の広告戦略が未来をつくる

アテンション中心のアプローチは、単なるトレンドではありません。断片化された広告接触環境の中で、消費者との本質的なつながりを築くために、マーケターが取り組むべき新たなスタンダードです。

アテンション指標は“測る”だけでなく、“成果を導く”ために使うものです。単なる評価指標として静観するのではなく、視認性(Visibility)、状況(Situation)、ユーザー行動(Interaction)の3つのシグナルをもとにキャンペーンを最適化することで、広告の成果そのものを大きく引き上げることが可能になります。

例えば、より視認性が高く、ブランドセーフで文脈的に関連性の高い掲載面の選定、そして消費者の反応データをもとにした継続的な改善。こうした取り組みが、消費者のアテンションを捉え、エンゲージメントを促進し、ビジネス成果につながるのです。

これからの広告は、ただ“届ける”のではなく、“届いて、記憶に残る”ことが求められます。アテンションという新たな評価軸を取り入れたマーケティングこそが、次世代の広告効果を最大化する鍵となるのです。

※参照: IAS「アテンション – 今取り組むべき指標」調査レポート
(IASサイト【https://integralads.com/jp/】 でご確認ください。)

 

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